2日葬
90代
仏式
故人のと続柄
故人の年齢
故人の性別
故郷
旅の場所
父
男性
葬儀形式
道東
父が骨折してからの生活は一変しました。
母が亡くなってから寂しさを抱え、羽幌で一人暮らしをしていた父ですが、事故をきっかけに私たちの家で暮らすことになりました。
最初は戸惑いもあったようですが、家族との日々は父にとって新たな楽しみとなりました。
リハビリを続けながら、孫たちの成長を見守る父の姿に、少しずつ元気を取り戻していく様子が見て取れました。
父の体調が急変して入院生活が始まると、先は長くないとの医師の言葉に心が重くなりました。
父の一番の願いは、生まれ育った羽幌への帰郷でした。
友人や近所の人々に再び会い、故郷の空気を感じたいと願っていました。
しかし、医師からはその願いが叶えにくい現実を突きつけられ、私たちはどうすればいいのかと悩みました。
葬儀の準備を進める中で、私は「旅葬」という言葉に出会いました。
これが父の願いを叶える方法だと直感しました。
「父を羽幌に連れて帰ってあげたい、父が愛した人々に再び会わせてあげたい」と思い、旅葬を決めました。
葬儀社との打ち合わせは父の人生を振り返る楽しい時間となり、この選択が正しかったと確信しました。
旅葬の日、家族でバスに乗り込み、父を連れて羽幌へ向かいました。
途中、父の若い頃の思い出が詰まった写真をムービーで見ながら、かつて父が遊び親しんだ海沿いを走りました。
実家に到着してからは、父の友人や近所の方々が次々に訪れ、父の昔話に花を咲かせました。
翌日、母と同じ火葬場で父を送り出しました。羽幌の海を見ながら、「父さん、母さんに会えてよかったね」と話しました。
家族にとっても、父にとっても、最後の完全なる帰郷でした。