1日葬
70代
仏式
女性
想い出
故人のと続柄
故人の年齢
故人の性別
旅の場所
最期の想い出作り
札幌市内
母
葬儀形式
私たちは今、恵庭渓谷へ向かうバスに乗っています。
私、57歳の普通の主婦。
家族が大きくなって、今は夫とのんびり過ごす日々。
子どもたちが小さかった頃、母がよくお弁当を作って、一緒にピクニックに連れて行ってくれました。
桜が咲いている春には、特によく行ったものです。
母は孫たちが遊ぶ姿を見て、いつも優しい笑顔を見せてくれたんです。
あの頃のことが、今でも鮮明に思い出されます。
母が亡くなり、どんな葬儀にしようかと考えていたとき、旅葬という言葉に出会いました。
コロナ禍での制限が多い中、家族だけで静かに母と過ごせる時間を持つことが、何よりも心安らぐと思ったんです。
葬儀社の方に「もう一度一緒に行きたかった場所はありますか?」と聞かれたとき、すぐに恵庭渓谷を思い浮かべました。
母が大好きだったあの場所で、最後にピクニックをしようと思ったんです。
恵庭渓谷に着くと、昔と変わらない自然の美しさが広がっていました。
「お母さん、もう着いたよ。何年ぶりかしら?」と、母に話しかけました。
母は今日、お気に入りのワンピースを着て、棺の中で静かに眠っています
。私たちは母が好きだった桜の木の下で、私が作ったお弁当を広げました。
孫たちが遊ぶ姿を見ながら、母もきっと私たちと一緒に楽しんでいると感じました。
ピクニックの後、私たちは母の兄弟の家を訪れました。
家族が集まり、母の昔話で盛り上がりました。翌日、私たちは母を桜の下で静かに送り出しました。
「お母さん、桜、きれいだね。よく似合ってるわ」と話しかけながら、母の旅立ちを見送りました。
母との最後のピクニックは、悲しみの中にも温かな希望を感じさせてくれ、私たち家族にとって大切な思い出となりました。