2日葬
90代
仏式
女性
想い出
祖母
道央
この朝は、いつもと違う。
窓から差し込む光が、静かに部屋を照らしています。
祖母の部屋には、彼女が愛用した茶道具が並び、そのどれもが彼女の温もりをまだ保っているようです。
私たちは、祖母が生前愛した菜の花畑へ向かうための旅に出る準備をしています。
家族が一堂に会し、彼女の遺影を前に静かに話し合いながら、彼女が最後に望んだ場所への旅路の準備を進めていました。
バスがゆっくりと動き出し、窓の外に広がる景色が次第に変わります。
祖母と訪れたことのある場所、彼女が愛した自然の美しさ、それらが心に残る風景として目の前に広がります。
バスの中では、祖母が生前好んで聞いたクラシック音楽が流れ、私たちはそれぞれが持つ思い出に耽ります。
途中、特に気に入っていた道の駅で休憩を取り、そこで祖母の好きだったお菓子を食べました。
想い出をたどる小さな瞬間が、祖母への感謝と愛を再確認させてくれます。
目的地である菜の花畑に到着すると、そこは祖母が生前よく話していた通り、黄色い花々が咲き誇る壮大な光景が広がっていました。
私たちは祖母の遺影を中心に、花畑の中で静かに祈りを捧げます。
爽やかな風が花々を揺らし、それがまるで祖母が私たちに語りかけているかのよう。
この美しい場所で祖母との新たな約束を交わしました。
生きとし生けるものすべてが繋がっていることを、改めて感じる瞬間でした。
菜の花畑を後にした私たちは、心新たに日常へと戻りました。
帰りのバスの中で、家族はこれからどう生きていくかを語り合いました。
祖母が私たちに教えてくれたこと、大切にしてきた価値観を、これからも胸に刻みながら生きていくことを誓います。
祖母の教えが、私たちの生活の中で生き続けることを感じつつ、静かに家路につきました。
この旅は、ただの終わりではなく、新しい始まりでもありました。
祖母の愛したもの、大切にしたものをこれからの人生に活かしていく決意を新たにしました。